下谷神社のアヒル

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下谷神社のアヒル

下谷神社には思いがけない動物が

生まれて初めて行った浅草寺は壮観だったがあまりに人が多く体も気持ちも疲れたと言うのが正直なところだった。そんな私が向かったのは上野公園。浅草通りをひたすら歩き続ける。 年初と会って人も車も少ないというのは新年のありきたりな風景か。もう少しで上野公園というところで赤い大きな鳥居が目につく。下谷神社だった。

鳥居を正面から見る。初詣客が少ないと感じるのは浅草寺の影響だろうか。しかしこの静謐は私にとっていい休息になったし実際エンターテインメントではない初詣はこう静かであるべきというのが数時間前に訪れた仲見世の端っこで悟ったいつわることのない俺の諦観である。 石の鳥居があり正面には拝殿と参拝客でまっすぐお参りをと歩きふと横を見るとなんでかアヒル。

下谷神社にはアヒルがいる。喫煙所のすぐそばで用意してもらったタライの水を飲みながら道行く人に目をやる。カメラのレンズを向けると勢いよくつついてくるから危険だ。 クァkァクァと鳴きながらつついてくるから要注意。そんな人とコミュニケーションをとりたがるこのアヒルが好きになった。しかし年初なのだからもう少し控えめにしてほしかったか。

アヒルの目が殺気立っているのがお分かり頂けるだろうか

アヒルが下谷神社にて私を攻撃する

状況はこうである。

アヒルという物珍しさにシャッターを向ける私。アヒルはお構いなしに水を飲んでいたがそれでも私はシャッターを切る。良くなかったのは知らず知らずに近づいてしまったことだ。 これがアヒルの機嫌を損ねてしまったのだろう。自ら顔を上げた途端私の方を睨みつけ嘴を突き上げけたたましい鳴き声とともにズカンズカンと、まるで版画職人が彫刻刀で板を削るように刺してくる。 驚きのあまり私は後ずさりする。たかがアヒルと思うかもしれないが実際やられてみるとその恐怖は計り知れず自分が人間であるという事実に驕慢的だったことを思い知る。 知らず知らず私は謝っていたかもしれない。

我に返ると可愛らしいアヒルが目の前で水を飲んでいた。

後日会いに行ってきました

11月の中旬。冬の足音が地味に微かに聞こえ始めた曇り空の日。

年初早々下谷神社にてアヒルの攻撃にさらされた私。そんな記憶が脳裏から離れないので再び訪ねることにした。ただ悪いのは水を飲む邪魔をした私です。

御徒町から下谷神社に向かう。近づくに連れ鼓動が早くなり緊張で四肢が戦慄く。約半年ぶりの下谷神社且つ忘れもしない突き刺さる黄色いくちばしと丸いふかふかの体。 あのアヒルはひるのだろうか?下谷神社の銀杏の木は黄色く色づいていた。ヤツの塒を脇目にあのバケツの場所、それは私が襲われ恐懼に佇立し思わずシャッターを切った場所に行ってみる。 そこで見たものは……

次回東京の風景-晩秋の下谷神社。悲劇は繰り返される!?