紫陽花咲く上野

上野公園に咲く紫陽花

アメ横や上野駅など上野と聞けばどちらかというと現代では繁華街やコンクリートのイメージが大きいかもしれません。むろん上野公園に代表される自然もあることは事実ですが都心というだけあって整備された市街地が大部分を占めるといっても過言ではないでしょう。そんな少ない自然であっても四季折々の装いを見せるのはほかの場所と同じであり喧騒と雑踏に塗れる都心において限られた場所でもあることは言うまでもありません。そうした貴重な場所であるからこそ両者を併せ持つ上野は人々に愛されるのではないかと考えます。

そんな上野の地で咲く紫陽花の花は貴重であるといえます。紫陽花自体その辺の公園でも植えられており決して珍しいわけではありません。しかし上野公園で見る紫陽花は人の手が加えられたり開発の都合などで人の手が加えられてしまっているようなぎこちなさがないのが特徴的です。加えて歴史的な建造物のそばで咲く姿は古来の日本の姿を今に見せてくれている気がします。写真では清水観音堂が写っていますが真っ赤な壁と青い花のコントラストが風情ある色合いを醸し出しています。空はあいにくの曇り空で空気も湿っており気持ちまで淀んできそうになります。しかし角の立たない紫陽花の風合いはそうした陰鬱さを落ち着かせ静がちな気持ちの中にも見出す何かがあることを感じさせてくれます。

重ねて言いますが紫陽花は決して珍しい花ではありません。しかし上野で見る紫陽花は自然的であり都心のどこそこで見る紫陽花と違って見えます。